年齢とともに変わる「似合う」の感覚
先日、久しぶりにクローゼットの奥から昔よく着ていたジャケットを引っ張り出してみました。当時はとても気に入っていて、何度も袖を通した一着です。
鏡の前で合わせてみると、サイズは問題ないのに、どこか違和感がある。しばらく眺めて気づいたのは、顔まわりの印象が変わっていたことでした。
色の見え方が変わる
40代の頃は、濃い色のジャケットが顔を引き締めてくれるように感じていました。ネイビーや黒、チャコールグレーなど、しっかりした色を好んで選んでいたものです。
でも今は、同じ色を顔の近くに持ってくると、なんだか疲れて見える気がします。肌のトーンが変わったのか、髪の色が明るくなったせいなのか。理由ははっきりしませんが、以前ほどしっくりこなくなりました。
最近は、ベージュやグレージュ、淡いブルーグレーといった中間色のほうが馴染むように感じています。はっきりした色が似合わなくなったというより、似合う色の幅が移動したような感覚です。
素材の心地よさを優先するように
もうひとつ変わったのは、素材への意識です。
以前は、多少チクチクする素材でも、デザインが良ければ我慢して着ていました。見た目のほうが優先順位として高かったのだと思います。
今は、肌に触れたときの感触がまず気になります。柔らかさ、軽さ、通気性。そういったことが気持ちよくないと、一日着ていられなくなりました。
これは我慢が効かなくなったというより、自分にとって何が大切かがはっきりしてきたということなのかもしれません。
「似合う」の定義が広がる
オーダーの仕事をしていた頃、お客様から「もう何を着ても似合わない気がする」というご相談を受けることがありました。
当時の私は、体型や顔立ちに合った服を提案することで、その不安を解消しようとしていました。それは間違いではなかったと今でも思います。
ただ、自分が年齢を重ねてみて感じるのは、「似合う」というのは見た目だけの問題ではないということです。着ていて心地よいか、動きやすいか、その服を着た自分が好きでいられるか。そういった内面的なことも含めて「似合う」なのだと、今は思います。
若い頃より選択肢が狭まったと感じることもありますが、その分、自分に必要なものが分かってきた気もします。悪くない変化だと受け止めています。